50代の日常

半世紀生きてるオバサン

今頃「マトリックス」を見た

NHKBSで「マトリックス」を放映していたので、録画しておいたのを見た。
もう18年前?の当時、私は既にインターネットを始めていて交流のある個人サイトさんの日記などでレビューを読んで、面白そう、私絶対好きなやつだと思いながらも未見だった。

私は当時長女が赤ん坊で、その5年後に次女を出産して彼女らが保育園、小学校を卒業するくらいまでは映画館で映画を見るどころか、当時流行り始めて傑作もたくさん出た深夜アニメも映画もほとんど見る事が出来なかった。いや、やろうと思えばいくらでも手段はあったはずだが、当時はフルタイムで仕事もしていたため生活の優先度から娯楽、趣味と言った類のものはぽろぽろと抜け落ちて行ってしまう。

ともあれ、ようやくゆったりと「マトリックス」が見られた。
物語的には、この当時でこの今どきのソシャゲ的な展開は当時はやはり新鮮だったのではという気がした。でも多分、物語自体よりもゴージャスな画面やVFX、観念的な主題の方が話題になったのでは、と思う。VFXについては「マトリックス以前以後で映画は変わった」という評論は見ていたので、これが噂の…とは思った。これはもう、近年のもっと凝ったものを見てしまっているのだから仕方ない。

現実と仮想という問いが繰り返し出てくるのには興味を惹かれた。人間発電所は内心ねーよwと思いながらも、ハードSFの永遠のテーマでもあるAI対人間ネタが、人間発電所という見世物で表現されているならアリだと思った。何より、人体に電源というかバルブと言うか、何か人工的なものが埋め込まれている絵面ってショッキングなものですなぁ。アニメなんかでは抵抗ないのに、やっぱり生身の人間が出ている映画とはこういうものなんだと。この手の、特に主人公ネオが人間発電所のポッドを破ってから救出されるまでの場面、「生身の人間としては生理的にイヤな表現」が盛りだくさんすぎて目が離せなかった。

この映画の中の未来がいかにディストピアであるかを、2000年を前にした当時の人に伝えるあれこれが盛り込まれているのは確かにすごかっただろうな、とは思いました。

過酷な現実と思い通り理想が叶えられるヴァーチャルのどっちが良いか?というネタについては人類の永遠のテーマなんだろうけど、笑ってられなくなる時代がもう近い気がしている。ちなみにこの手のテーマに私が始めて触れたのは手塚治虫の「火の鳥宇宙編」のエピソードで、仮想現実に囚われている男が、主人公の説得も受けずにポッドに引きこもってしまう。主題は別なところにあってもっと壮大で、この場面がどうしても検索出来ていないんだけど確か宇宙編で間違いないと思う。それもあって、長らくゲーム否定派だったけど、仮にゲームじゃなくても物語に没入して現実逃避するのと何が違うのだろう、とはよく思っていた。いずれにしろ仮想現実やゲームの影響とかが話題になるたびについ思い出してしまう。

今思うことは、結局はいかに仮想現実が本物の現実と違いないくらいに感じられるテクノロジーが実現しようとも、生身の人体生理をコントロール出来るテクノロジーが出来上がらないうちには、生の現実を理想に近い形に持っていくしか明るい未来を描く事は出来ない。それをまあ幸福の追求っていうのかな?

なんて言い方が思わず哲学的な感じになったけど、たとえば胃もたれしている時にご馳走映像匂いつきなんて気分が悪くなるだけだろうし、頭痛や怠さがあるのにハイテンションで話しかけてくるVRのイケメンがいても鬱陶しいだろうという、この不自由な身体の中に設置されている脳である限り、身体の方が先だろうという下世話な話ですね。

結局は、この手の「仮想現実に逃避」ネタというのは、眠っている時の夢の方が近い気がする。それこそ、夢なんて機械文明以前から研究されていてもよくわかってない?らしいから、やっぱり映画のようなVRの時代はまだまだ先で、その前にディストピアの方が実現してしまいそう。

 

とか思いつつ概ね楽しんで見てたんですが、クライマックスでのヘリで高層ビルの外から銃乱射、には内心ちょっと醒めた。なんでハリウッドはコレが好きなんですかね…VFXの新しい手法盛りだくさんの映画の中でコレやらなくてもいいじゃん。ハリウッド大作のお約束だったのかな。

機械と人間、現実と仮想、盛りだくさんの仕掛けが売りの映画ながら、キアヌ・リーブスが一番イイ男の時に大ヒットしてよかったね、というのが一番印象に残ったのが後になって面白いなと思いました。トリニティ役のキャリー・アン・モスも青い目と思慮深い感じの表情が素敵でしたねぇ。結局は演じる生身の役者の旬を楽しむのが映画という娯楽であって、まあシチューの肉みたいなものでだけど肉だけじゃ美味しくないしね、というわけのわからない感想を持ちました。

肉は美味しい。そんな結論で良いのか 笑

ただ、「ブレードランナー」なんかも近年になってようやく見た名作映画なんですけど、ハリウッドの男性俳優ってそんなに良いか?って思う人多いんだよね…こと、こういうSFテクノロジーものだと頭が切れる主人公であって欲しいんだけど、割と脳筋みたいな役者多くない?キアヌ・リーブスはとても天才ハッカーには見えない。イケメンがハッカーとかあり得ないというわけじゃないけど、何というかある種のオタク臭を纏う演出をして欲しいとか思うんですよね…まあ個人的感想です。

さて、近々続編も放映されるのでいそいそと録画予約はしました。